栄養学の新常識

 老化とたたかう方法があります、それは食事の見直し。

 シニアのみなさんに「運動不足」はあっても、自分が「栄養不足」であるという認識はありません。しかし、現実には独りよがりで自己流の食事であることがほとんどです。「運動の前に食事の内容」ともいいますが、栄養に対する正しい知識と実践なくしては、どんなに一生懸命に運動に励んでみても効率的に結果に結びつけることは出来ません。

 この20年間で栄養学はコペルニクス的変換といって言い、進歩と発展を遂げました。昭和の時代に栄養士を育成する学校で教えた「栄養学」の知識は、令和の学校において「昔の常識は非常識」と云われています。手のひら返しをされた、と言ってもいいでしょう。 いまや栄養士を育てるの学校ではテキストの選定にたいへん苦労するといいます。それはそうですよね、数年前に教えていたことと全く反対のことを教えなければならないのですから。「脂肪を食べるとお腹に脂肪がつく、油を摂取すると太るから食べないほうがいい」と思い込んでいたのに「それは間違い。酸化した油が毒なのは事実だが、熱を入れていない油(オメガ369)はもっとたくさん摂取する必要がある。油は筋肉以外の身体を作る細胞の素になる材料である。これは最近の研究で分かったこと」等と反論されるのですから。そして肥満の原因は糖質の取りすぎが原因であると結論づけられるようになりました。

炭水化物(白米・パン)は、体内で吸収されてエネルギー源になりますから、砂糖(清涼飲料・スナック・菓子)と同じ「糖質」と分類されます。 大好きなパンを食べていると、「パンに含まれるグルテンはリーキーガットの原因になるから気をつけろ!」と注意をされたりすると、メシぐらい心が穏やかに食わせろと思います。さらにはグルテンフリー、ビーガン、とカタカナ言葉ばかり、心が休まる気がいたしません。そんな時「日本人は昔から食べている米を食べておけばいいのだ」という意見を聞くと「なるほどなっとく。これは心が休まる意見だ」と思っていたら、「ただでさえ炭水化物は摂取過剰なのだ」「アメリカ人は清涼飲料を飲みすぎで肥満している、日本人は白米の食べすぎに注意しろ」と言われたり、食べたいものもおちおち食べていられません。

 3つの栄養 ✔ポイント

①糖質控え目(低糖質)
炭水化物は控えめに、が健康によい食事です。なぜなら、炭水化物は、体内で ”糖” に変換されます。そして消費されない糖分は身体に脂肪として付いてしまいます(非常時のエネルギー源として蓄積) しかし、お菓子や砂糖の場合、食べると味覚が甘いと感じるから”糖”を取ったと分かるのですが、ごはん、麺類、パン等の炭水化物の場合、これらは我々の脳に「主食」として位置づけされており、放っておいても勝手に口から入ってくる位自然なもの、欠かすことのできない必要不可欠なものであり、日本の食文化の中心をなしているため”糖”を取ったという認識がありません。甘いお菓子であれば罪悪感すら伴う”糖を摂ると身体に悪い”という感覚が希薄になる食べ物なのです。したがって日本人にとって炭水化物を一切摂らないでいることは非常に難しいのです。「からだに悪いから」といって毎日食べてきた食事を突然変えるのは、赤ちゃんに”断乳”を行う時と同様、身体に与えるストレスをよく考えながら行う必要があります。

昔のサッカー日本代表の本田圭佑の言葉で「サラダから食べろ」とあるように、炭水化物はいきなり最初に食べてしまうと、インシュリンを急激にあげてしまいます。インシュリンの急上昇が万病のもとになることは良く知られていますおり、ここでまたGI値という新しい言葉が登場します(GI値についてはインターネットで詳しく調べてみてください)また、同じく昔のサッカー日本代表の長友佑都は「チャーハン大好き」「どうしてもやめられない」といい、食事の最後の方にチャーハンを持ってくることで知られています。結果を出すためにストイックな練習を積むアスリートですら炭水化物を減らすのは難しいのですが。健康長寿のためには、新しいことも色々知っていただき、ちょっとづつ実践していただくと良いでしょう。赤ちゃんには断乳の時が必ず訪れます、おばあちゃんも元気で長生きしてもらうために糖質を少なくする(低糖質の食事)、或いは夜に摂取しない、をおこころがけいただくと健康長寿に貢献します。

②タンパク質をとる
いうまでもなくからだの筋肉をつくるのはタンパク質です。そして日本の高齢者に絶対的に不足しているのもタンパク質です。「さいきん、足が上がらなくなってねえ」「髪の毛の量が減ってきた」と嘆いている貴女、原因はタンパク質の”圧倒的な不足”です。米飯やパンは過剰摂取と言われ、肉・魚類のタンパク質は必要摂取量を遥かに下回ってしまう、これが日本人の栄養摂取スコアの平均値です。「私は大豆類をたくさん食べているから大丈夫、平均値を上回っている」とお考えの貴女

③ 良質な油をとる
脂肪を燃やすことと油を摂取すること、これは矛盾することではありません。貴女が意識して糖質を減らすと代わりに勝手に脂肪が燃えて身体が引き締まります。体重が落ちるより早く体形に変化があらわれることでしょう。また髪の毛のコシ、ハリに変化があります。お顔の表情にも良い変化が現れてきませんか? 油をとると脂肪が身体につくのではなく、(脂肪以外の)身体の細胞をつくる材料になるのです。この時、運動は新陳代謝を活発にするスイッチを入れているようなもの、良い油の摂取と併せて運動をお勧めします。材料が到着しても血管の動きが悪いのでは身体という工場はまわりません。健やかな血流は、水分・酸素・良質な材料を身体の隅々にお届けします。末端の細胞は、水分・酸素・栄養素が届けられて初めて息を吹き返します。

新陳代謝をおこない身体をつくる材料はタンパク質ならびに油分。油分・脂肪を摂取したら(身体の)脂肪になる、これは長い間当然のごとく信じられてたことでしたが、最近の研究で誤った事実であることが分かりました。朝のコーヒーに亜麻仁油を数滴たらすだけで色々な変化が現れた、という方の報告も多くあります。

どんな油でもいいという訳ではありません。加熱した「使いまわしの油」には酸化による毒素が生じています。しかし、独り暮らしの方なら、とんかつなど揚げ物は ”スーパーのお惣菜”を買う、方も多いことでしょう。「台所が油で汚れるから・・」、と考える方が一般的です。
しかし、スーパーの揚げ物で使われている油は ”素性が不明” と思った方が賢明です。熱を入れない、そのままの油、素性のはっきりした油(魚の油、オリーブオイル、刺身の脂肪・・・オメガ3・6・9)を摂るようにこころがけましょう。飲み物に数滴たらす、生野菜にたっぷりかける、油はタンパク質と並んで身体の組織をつくる材料、新陳代謝を促すために非常に大事」な栄養素となっています。温故知新といいますが、新しい知識は積極的にとりいれたいもの。時代は「人生百年時代」に近づいているのは間違いのないことです。健康長寿の秘訣はおおいにシェアしていくべきでしょう。